妊娠カレンダー
小川 洋子
定価: ¥ 1,020
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おすすめ度: 
発売日: 1991-02
発売元: 文藝春秋
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食の安全はどこにあるのでしょうか
『妊娠カレンダー』です。表題作の他に、『ドミトリイ』『夕暮れの給食室と雨のプール』を収録した短編集です。
表題作は芥川賞を受賞していますが……作者の小川洋子といえば代表作は『博士の愛した数式』でしょう。『ドミトリイ』の中には数式を駆使する数学科の大学生がいたりして、ちょっと興味深いです。
三作に共通しているのは、けっこうダークな作風であることと、食べ物が作品の中心に描かれていることです。
偽装とか薬物混入とか、食の安全がわからない昨今の中で読むと、更に面白さが増しそうです。
どの作品も純粋に面白いです。文章は読みやすいし、純文学なんだけど、どの方向性に向かっているのか分かりやすいし、主人公の心理も分かりやすいです。ちょっとホラーっぽくもあり、謎解きっぽい要素もあったり、面白いです。
注意、グレフルジャム。
つられて過食症なりそうです。笑
綺麗なんですもの、過食光景。
静かで明るいダイニングで、鍋からグレフルジャム。
・・えぐいのに和みな小川世界。
妊娠したとき、
思い出して真似しちゃわないようにちゅい。
日常にありふれている負の感情を描いた作品
いかにも芥川賞受賞作といった類の純文学作品。同居生活を送っている「私」と姉、
姉の夫という三人の生活がこの作品の主な舞台となっている。
妊娠してからというもの、「私」の姉はどんどんヒステリックになり、美しかった肢体
には肉がつき、二重顎にたるみ始めた・・・「私」から見た「私」の姉や姉の夫の言動をひた
すらに描写し続け、「私」の些細な感情の揺れはいちいち描かれないまま、しばらく物語は
進行していく。一人称で描かれているが、中心に据えられているのは姉だ。
しかし、「私」がアルバイト先のスーパーでグレープフルーツを貰ってきたあたりから、
「私」の意図が見え隠れし始める。それはグレープフルーツでジャムを作り、姉に食べさ
せ続けること。昔、米国産のそれについて叩き込まれたある記憶が「私」にそうさせた。
なぜそのような行動に出るのか? 人間が隠そうとする、あるいは気づきたくない負の
感情のうちの一つがそうさせているのだろうと予想はつくが、何とも言えず不気味な妹
なのだ。姉が産んだ赤ん坊を見に行く「私」は、いったい何を見ることを期待しているの
だろう?
小川さん独特の手法にかかれば、ありふれた日常もホラー的な要素満載である。
